「個人でゲームサイトを作る」と言うと、「すごいですね」と言われることが多いです。でも正直に言えば、始めた理由は単純で、飲み会で使えるゲームを探していて良いものがなかったからです。
この記事では、TYU CREATIONがどんな課題意識から生まれ、どんな技術を選んで、何に躓きながら今に至るのかを開発者として正直に書きます。ゲーム開発に興味がある方、個人開発を考えている方、あるいはTYU CREATIONを「使う側」として少し背景を知りたい方に読んでもらえれば嬉しいです。
目次
- TYU CREATIONが生まれた経緯
- 最初に作ったもの、失敗したこと
- 技術スタックの選定理由
- 「禁断のワードミキサー」の設計思想
- 個人開発で一番難しかったこと
- 今後やりたいこと
TYU CREATIONが生まれた経緯
きっかけは、友人グループの飲み会でした。「何かゲームしよう」という話になり、スマホでゲームを探し始めたのですが、これが意外と難しかった。
App Storeで「飲み会ゲーム」と検索すると、広告だらけのアプリか、5年以上更新されていないアプリばかりが出てきます。インストールが必要・広告が邪魔・日本語対応が中途半端・そもそも対象人数が合わない──全部に何らかの問題がありました。「ブラウザで動く・無料・インストール不要・日本語対応・8人くらいで楽しめる」という条件を満たすものが、調べた限りでは見当たりませんでした。
「ないなら作る」という発想は、エンジニアの悪い癖かもしれませんが、この「ないもの」を作れると思えたのが最初の一歩です。
最初に作ったもの、失敗したこと
最初のプロトタイプは今のゲームとは全く別のものでした。お互いの答えを当てる「バカバカしいクイズゲーム」のようなものを最初に作り、友人に試してもらいました。
感想は「面白いんだけど、ちょっとルール説明が長い」「飲みながらやるには考えることが多い」の2点でした。飲み会のゲームはルールが複雑になると機能しない、という当たり前の事実を、実際に試して初めて体感しました。この失敗から「ルールは30秒で説明できなければいけない」という設計原則が生まれました。
また、スマホ画面の小ささと、酔っている状態での操作ミスの多さも予想以上でした。タップ対象が小さいと操作ストレスが笑いの邪魔をします。このフィードバックを受けて、UI設計を根本から見直しました。
技術スタックの選定理由
TYU CREATIONはTypeScript / Cloudflare Workers・Pages・D1という構成で動いています。この組み合わせを選んだ理由は「個人開発者がコストを抑えながらスケールできる」という点です。
- Cloudflare Pages:フロントエンドの静的サイトホスティング。無料枠で全リクエストをカバーできるため、個人開発のコスト管理が非常に楽です
- Cloudflare Workers:サーバーレスのAPIエンドポイント。コールドスタートがなく、世界中のエッジノードから実行されるためレスポンスが速い。料金は使った分だけで、アクセスが少ない初期段階はほぼ無料で運用できます
- Cloudflare D1:SQLiteベースのデータベース。リレーショナルDBの使い慣れたSQLが使えつつ、Workersとのシームレスな連携ができます
- TypeScript:JavaScriptの型安全版。フロントエンドとバックエンドで同じ言語を使えるため、個人開発でのコンテキストスイッチが減ります
クラウドサービスの選択は「安い・速い・個人で運用できる」の3点で決めました。AWSやGCPも検討しましたが、Cloudflareは無料枠が突出して大きく、初期段階の個人開発には最もコストパフォーマンスが高い選択肢でした。
「禁断のワードミキサー」の設計思想
禁断のワードミキサーの設計で一番考えたのは「全員が常に能動的でいられるか」という点です。多くのゲームは「誰かがプレイして、他の人が待つ」構造になっています。待ち時間が笑いを消します。
ワードミキサーでは、全員が同じタイミングで回答を選び、同じタイミングで結果を見る設計にしました。誰かの回答を待つフェーズをなくし、全員の回答が同時に明かされる瞬間を作ることで、リアクションのタイミングが統一されます。このリアクションの一致が、場の一体感を生みます。
また、正解のないゲームにすることも意識しました。正解があるゲームは「知っている人が強い」という構造になり、知識差が楽しさの差になります。発想と笑いで勝負するゲームにすることで、職業・年齢・知識量に関係なく全員が対等に参加できます。
個人開発で一番難しかったこと
技術的な問題より、「ゲームバランスの調整」が最も難しかったです。どれくらいの制限時間が最適か、何人でプレイしたときに最も盛り上がるか、どんなお題が笑いを生みやすいか──これらはコードを書いても答えが出ない問題です。
実際に友人・知人に50回以上プレイしてもらい、そのたびに「盛り上がった瞬間」と「静かになった瞬間」を記録しました。そのデータを元にお題の選定・制限時間・画面遷移のテンポを調整しています。今でもフィードバックをもらうたびに細かい調整を続けています。
もうひとつ難しかったのが「リリースするタイミングを決めること」です。個人開発では「まだここが完成していない」と言い続けると永遠にリリースできません。「最低限これが動けば価値を確認できる」というラインを自分で決めて、不完全でも公開する判断が必要でした。
今後やりたいこと
TYU CREATIONでは、禁断のワードミキサーに続くゲームを開発中です。「飲み会・パーティーで誰でも使えるブラウザゲーム」というコンセプトは変えず、ジャンルや遊び方を広げていく予定です。
個人開発で一番リソースが足りないのは「テストプレイ」です。もし実際にゲームを試してみて、フィードバックをいただけると開発の参考になります。お問い合わせページからいつでも連絡をいただけると嬉しいです。
「使う側」と「作る側」が近い個人開発サイトだからこそ、フィードバックが直接ゲームに反映されます。これが大手ゲーム会社との最大の違いだと思っていますし、そこに個人開発のおもしろさがあります。